特許コラム

2011年4月21日 木曜日

ものすごく頭のいい人なんていない

 こういうことを書くと誤解を招くかもしれないですが、最近、思ったことを。
 
 世の中の人には、
「世の中にはすごく頭がよくてしっかりした人がいて、難しいことはそういう人たちがうまくやってくれている」
と思っている人がいるのかな? と感じることがあります。
 いや、少なくとも私もかつてはそんな風に思っていたような気がするので。
 現実問題として、そんなことは絶対ないですよ、というのが今日のブログの話です。
 
 なんでそんなことを急に書き始めるかというと、「資本主義はなぜ自壊したのか  「日本」再生への提言」(中谷巌著 集英社文庫 2011年)を読んでいて、私も昔は、
「政府の経済政策を決めているような人は、ものすごく頭もよくてしっかりしたビジョンがあって、私のような一般人とは違うレベルでの思考の果てに、色々なことは決まっているのだろう」
と信じていたことを思い出したもので。
 
 この本を読むと、中谷巌氏という一時期は日本の経済政策に影響力を持っていた人も、「普通の人」だということが分かります。
こう書くと、「中谷氏を批判している」と解釈される方もおられるかもしれませんが、逆です。むしろ、「自分も失敗をする普通の人」ということを広く一般に向けてさらけ出せる、という点において、中谷氏は「自分を強く持ったしっかりした人」だと思います。
 このへんのことは、また回を改めて書かせて戴くとして。
 
 で、ここから、いきなり知財の話になるのですが。
 企業知財の方が仕事をされるとき、このことは肝に銘じたほうがいいですよ、という話です。
 
 企業知財の仕事をすると、弁理士だの弁護士だのという「肩書き」を持った人が登場して、特許について何やら難しいことを言い出すわけです。
 そういう話に幻惑されると、
「ああ、この先生は難しいことを言って頭がよさそうだから、(話の内容について自分は良く分からないけど)この人に任せておけば安心だろう」
という風に思ってしまうことがあるように思います。
 また、「この人の言うことは納得できないけど、頭のよさそうな人が言うのだから間違っていないのだろう」と無理に自分を納得させることもあるでしょう。
 
 しかし、「そんなにすごく頭のいい人」なんて、世の中にはいませんよ、という話です。
 だから、その人が語る話の内容が分からないにしても、
「その人がどの程度の人か」
ということについては、厳しい目を向けておいたほうがいいです。少なくとも、「何でも分かっているものすごく頭のいい人なんてどこにもいない」という前提で接したほうがいいです。
 
 だからといって、「弁理士なんて大したことないから信用できない」と嘯くのも、「個々の弁理士の能力の見極めをしていない」という点で同じ、と思いますが。
 
重要なのは、「完璧な人間などどこにもいないから、どうやって(個々に欠点をもった)現実の人間をうまく使っていくのか」ということじゃないか、と。
 その上で、個々の弁理士(又は弁護士)ごとに
「コイツはここまでは分かっているから、このあたりの仕事は任せておいて安心」
というラインを決めつつ仕事を任せていく、という「見極め」をすべきではないかなぁ、と。それこそが、「企業知財」の最も重要な仕事かもしれないと思います。
 
 このあたり、意見も分かれるし、難しいところです。こういうことを書くと反感を覚える方も多いと思いますが、ここは私の意見ということで。


投稿者 八木国際特許事務所

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