特許コラム

2011年3月29日 火曜日

「超常現象の心理学」

 今日、取り上げる本は、古本屋で買った本なので、10年以上前の古い本です。従って、今、新しい本では手に入らないようですが、アマゾン等では中古も手に入るようなので、取り上げさせて戴きます。
 
 「超常現象の心理学 人はなぜオカルトにひかれるのか」(菊池聡著、平凡社新書 1999年)です。著者は信州大学准教授の先生です。
 
 この本は「反オカルト」の本であり、また「オカルト」というものを「非科学的」で論理が飛躍した思想全般、としています。ですから、船井幸雄氏の本や「脳内革命」、血液型占い等のすべてについても、「オカルト」として批判を加えています。
 
 なんだか、「オカルト否定」という部分については、読み終わった今も「そこまで目くじらたてなくても」という気がする面があります。
批判されていることの意味は分かるし、正しいことを仰っていると思うのですが、残念ながら「オカルト」的なもののほうが、科学的根拠に基づいて構築された論理よりも「面白い」のもまた事実です。そうである以上、世の中から「オカルト」を排除することはできないだろうな、と思います。
 
 事実、私も「オカルト」が一切なくなった世の中って無味乾燥で面白くないだろうな、という気がしますし。間違っていても「楽しいこと」にはそれなりの功徳があるという気もしますし。
 
 そういう意味で、私は「気持ちは分かるけど……」と思いながらこの本を読みました。
 
 そういう部分よりも、ここで書かれた「心理学における科学的アプローチ」というところを非常に面白く読みました。
 そもそも、心理学というのは「学術」と「思想」の中間にある非常に微妙な位置づけの学問ですから、「理系のような文系学問」というか。
 私は心理学に詳しくないので、なんだか、新鮮に見えました。また、この著者の語り口は非常に分かりやすいし、茶目っ気があるというかんじで、楽しく読めました。
 そして、確かに文系的な事象を扱う際に、色々な人が陥りがちな「論理の飛躍」というものについて、非常に分かりやすく説明してくれていると思いました。
 
 また、ディベートについての解説も非常に面白かったです。教育におけるディベートの取り入れ方等は、なるほど、と納得したりもしました。
 
 というわけで、「オカルト」云々に興味のない方でも、心理学者の考え方の基礎的な部分を知りたい、という方には非常に分かりやすく楽しい入門書であるように思いました。


投稿者 八木国際特許事務所

大きな地図で見る所在地〒532-0011
大阪府大阪市淀川区
西中島5-5-15 新大阪セントラルタワー南館4F
[ホームページを見たとお伝えください]06-6307-2278FAX:06-6307-2281受付時間月曜~金曜:9:30~17:00
定休日:土曜・日曜・祝日

詳しくはこちら