特許コラム

2010年12月21日 火曜日

「特許戦略」という言葉の定義(2)

 昨日のブログで「特許戦略」の定義について書きました。
 が、色々書いたのに、自分が思う「特許戦略」という定義を一切書いていません。
 それはなぜか、ということを今日は書いてみたいと思います。
 
 「特許戦略」の定義を全世界共通の完全な形で行うことは意味がないと私は思います。会社ごとでそれぞれに違った自分の会社オリジナルの「定義」を持っていることが必要なのではないか、と思います。戦略に強い会社とは、このようなオリジナルの「定義」を持っている会社、と言えるかもしれません。
 
 私も相談戴ければ「貴社はこのような戦略で行えばよいのではないですか」と、会社に合った定義付けを行うお手伝いはできる気がします。しかし、どこの会社でも適用できるような、一般的な定義を考えてもあまり意味はないと思います。
 
 特許というものの根本的なところとして
「模倣商品を防ぐことで商品単価を維持し、利益の拡大を図ること」
ということがあるので、それが一つの「定義」となり得るでしょう。とはいえ、漠然としていて、これだけでは具体化するための計画をどうやって立てていいか考えにくいように思います。
 
 戦略を実行に移していくには、より分かりやすく具体的な方針を立てることが必要になることもあるでしょう。業界事情、会社全体の事業方針等の要素が関係する場合もあるでしょう。
 そのような場合のより具体的な「定義」は、各社で決めていかなければならないのであり、それが「経営方針」の一部と言えるのかもしれません。
 
 学校で習った勉強の延長に立っていると、「定義」というのは何か絶対的なものがあって、それを誰かが教えてくれる、と思っている方が多いと思います。
 しかし、ビジネスにおいては重要な言葉の「定義」を誰かが教えてくれることなどあり得ないと思います。むしろ、誰に教えられたわけでもない自社オリジナルの、強固な「定義」を持つことで特許戦略の方向は明確化されていき、企業が強力な力を持つということなのかもしれません。
 
 昨日のブログでは「特許戦略」の定義の共有が重要、と書きました。これは同一組織内においてこの「オリジナルの定義」を共有していくことが重要というつもりで書いています。
 
 そのあたりが、昨日のブログでは「定義」が重要と書きつつ、実際に私が思う定義を書かなかった理由です。
 是非、皆さん、オリジナルの定義を考えてみて下さい。


投稿者 八木国際特許事務所

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