特許コラム
2010年12月20日 月曜日
「特許戦略」という言葉の定義
しつこく「論理性」ということを書き続けてきたこのブログ。
今回は「定義」ということについて考えてみましょう。
「文系の論理」ということについて、本ブログでは絶対的な前提に基づいて論理を組み立てていくもの、というように書いてきました。
このような考え方においては、「前提」がなにより重要になるわけです。法律の場合は法律の条文がこの「前提」になり、法律で規定された事項自体は「前提」として崩れないものとなります。
しかし、それ以外のこと、例えば「特許戦略」とか「企業統治」とか「投資戦略」とかそういった話になってくると、法律の話のように「前提」が何なのか、ということがはっきりしません。
でも、そういう「前提」がないと話が進まないのが文系的な議論です。ですから、「特許戦略」「企業統治」とか、その手のことについて考えるときには、最初の「定義」をどこまできちんとできるかがすべて、と言っても過言でないように思います。
しかし、そこのところをきちんとして進められた議論は極めて少ないように思います。
そのせいで、「特許戦略」はうまくいきにくく、その実態もぼやけたものになっているように思います。
「特許戦略」のようなことを論理的に組み上げて行っていくには、色々な「定義」を最初に行うことによって、その計画に参加する人の考えを統一するという作業が必要なのかもしれません。
言葉というのは怖いものですよ。「言葉」を与えてしまいさえすれば、はっきりしないものであっても、実態があるように錯覚してしまって、議論してしまったことになるものです。「特許戦略」と口にしてしまえば、「特許戦略」が何なのか、誰も理解していなくてもそれらしい話をした気分になってしまうものです。
「特許戦略」という言葉の意味なんて、誰もはっきりと定義していないわけです。個人個人では定義した人が多くいるように思いますが、統一的な定義なんて存在しないのです。
その状態で「特許戦略」について話し合うことで、ちゃんとした結論が生まれにくくなることも起こり得ると思います。
「特許戦略」に基づいて社内の知財行政を行おうと思っているけれど、なかなか議論が前に進まない、と思っておられる方もいるかもしれません。
そう思っておられる方がおられれば、最初に「特許戦略とは何か」という定義を行って、その内容を皆で共有することから始めればよいのかもしれません。
投稿者 八木国際特許事務所

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