特許コラム

2010年11月19日 金曜日

特許庁面接(4)


以前の記事はこちら。
 
 ポイント⑤
 事前打ち合わせはほどほどに
 
 これは難しいところで、意見も分かれると思います。
 しかし、面接において、事前打ち合わせでのシミュレーションはある程度必要ですが、やりすぎるといけない、と思います。これは完全に私の意見なので、「そうではない、完璧な打ち合わせが必要だ」とおっしゃる方がおられたら、それを否定する気は毛頭ありません。
 
 面接というのは審査官とのやり取りですから、審査官が何を言ってくるのか想定しておいて、「こう聞かれたらこう応える」ということは考えておいたほうが、面接のときに慌てなくてすみます。
 何を聞かれても答えられないのであれば、面接に行った意味がないわけですから、ある程度の準備は必要でしょう。
 
 しかし、面接は普通、一人だけで行くわけではありません。よくあるパターンとしては、事務所弁理士1名、企業知財1名、発明者1名というものがあります。
 
 このような場合に、事前にいくら打ち合わせしたところで、全員の意志を完璧に統一することはできません。技術の理解度、審査官の主張の理解度にはばらつきがあって、それぞれの思いで、打ち合わせに行くことになります。
 
 議論というのは、その場の空気とか話の流れというものがあります。事前に「これを言う」と決めていても、当日の面接の流れ上、そんなことを言う必要はない、という状況になることはあります。
 
 でも、準備しすぎると、話の流れに逆らってでも、準備したことを言わざるを得なくなることがあります。
 一人で行くのなら、それを避けやすいですが、3人で行っていたりすると、事前打ち合わせの内容によっては、「それを言わないと、事前打ち合わせの計画が全部崩壊する」という事態にも陥りかねません。
 
 そうではないにしても、面接当日に事務所弁理士が打ち合わせで全然言っていなかったことを突然話し始めたら、他の人は戸惑うでしょう。「あの事前打ち合わせは何だったのか?」という気分にもなりませんか?
 
 私は、「当日にこれを言おう」と思って準備していたことであっても、話の流れに逆らう形になるのなら、話の流れに乗っていって、事前準備していたことと全然違うことを言っているときはしょっちゅうあります。
 そのかわり、事前打ち合わせをきっちりとやりすぎないようにします。
 
 非常に重要な特許で、しかも拒絶理由が厳しいときなどは、力が入りすぎて綿密に事前打ち合わせをしてしまいがちですが、当日に柔軟で臨機応変な対応をしようとするなら、事前打ち合わせを過剰にすることは、かえって悪い方向に向かう場合もあるように思います。
 
 それに、「これは事前打ち合わせの内容と全然違うことを審査官は思っているな」と思ったら、正直にそれを伝えて「もう一度検討します」と言えばいいだけのことです。
 そういう意味では、面接は情報収集の場、と考えるべきということでもあります。
 
 日本人というのは潔癖すぎる傾向がありますし、また、若い方等は気合が入りすぎて、考えすぎることもあるように思います。
 しかし、努力が必ずしもベストの結果につながるわけではありません。ちょうどいい頃合いを見計らうということも考えるべきではないでしょうか。

特許庁面接(5)
に続きます。
 


投稿者 八木国際特許事務所

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